寺岡研究室

ContMEC: MEC Architecture for Container-based Mobile Applications

近年注目されている MEC (Multi-access Edge Computing) では,従来インターネットの先に配置されているサーバサイドプログラムをクライアント近傍のネットワーク内に配置することで,応答遅延を短くするタイプが多く見られます.我々は,将来スマートフォンのようなユーザ端末(UE)上でもコンテナベースのアプリケーションを実行することを想定しています.ContMEC は,UE 上で実行されるコンテナベースのアプリケーションを構成する一部のコンテナを UE 近傍のネットワーク内のサーバにオフロードする機構を提供します.同時に接続する UE の数は膨大なため,地理的に分散した接続点に対してエッジ拠点(Edge Station)を適切な粒度で構築することで,UE の数に対するスケーラビリティを備えます.また,Edge Station はクラウドの Data Center と比べて資源に限りがあるため,全 Edge Station にまたがって効率的な計算資源管理をする MANO(Management and Network Orchestration)機構も提供します.

ham, yana

ISP 視点におけるサービストラフィックの流量予測

ISP (Internet Service Provider) は社会インフラの一部として安定性と信頼性のあるインターネットを提供するために回線の増強などの適切なネットワーク設計をする必要があります。そして近年、サービス(e.g., Youtube)の特性に応じたネットワーク設計をするという需要があります。ISP視点でネットワークトラフィックの流量推移を正確に予測することで長期を見据えたネットワーク設計が可能です。本研究では統計的手法を用いてTCP/IPヘッダ情報とウェブサイトの滞在時間情報を組み合わせ、サービスに紐づくIPアドレスを特定し、サービスごとにトラフィック流量を予測するシステムを提案します。

tamuu, latte

Leveraging segment routing for traffic engineering

現在,ビデオのトラヒック(Live StreamingとVideo on demand(VoD))はネットワークトラヒックの大部分を占めています(CISCOの調査結果: 82%程度)。過去より多くのマルチメディアサービスプロバイダ(YouTube、Netflixなど)がContent Delivery Network(CDN)を介して自分のビデオコンテンツの配信をしています。マルチメディアサービスプロバイダもしくはCDNプロバイダのバックエンドに、Cloud-based video processingという方式で、ビデオもしくはビデオセグメントの処理を行っています。ですが、データセンター内のサーバではハードウェアの構成は通常異なっています。このようなネットワークシステムの中では、低品質のビデオ(etc. 1K_24fps)の処理によるmice flowsがある一方で、高品質のビデオ(etc. 4K_120fps)の処理によるelephant flowsもあります。高性能GPUを持つサーバでmice flowsを処理するのは電力と高性能ハードウェアの無駄遣いになり、低性能GPUを持つサーバでelephant flowsを処理すればユーザに対する遅延が大きくなります。Segment Routingを活用することにより,ビデオソースからmice flowsとelephant flowsを分割すると共に、flowに対する適当なハードウェアを持つサーバに導き、処理性能とユーザに対するQuality of Experience(QoE)の向上を目指しています。

edward, latte

KANVAS: ナレッジベース × オープンデータで創るネットワーク情報共有基盤

KANVAS (Knowledge base system in wide Area Networks with Versatility , Availability and Scalability) プロジェクトはナレッジベースを利用したネットワーク知識の情報共有基盤で, 「ネットワーク知識のオープンデータ化」をコンセプトにネットワーク知識を誰もが自由に利用できる仕組みづくりと, その技術開発をしています. このデータを活用することで, ネットワーク状況を考慮した効率的な通信や障害原因の推論, 障害の影響範囲推論といったこれまでにないネットワーク管理が可能になります.

macdo, latte

列車用赤外線通信装置の高精度追尾及び高速切り換え機構

新幹線等の高速で移動する列車内に10Gbps以上の高速インターネット環境を提供するための赤外線通信装置をSDMの春山研究室と共同で開発しています. その中で, 相手通信装置が発する追尾用赤外線信号の画像解析による識別子検出と高精度な追跡, 通信装置間の高速な切替機構を開発しています. 通信の遅延や切断に厳しい条件を有するSkypeなどにも影響を及ぼさないようにするため, 目標とする切り替え時間は20ミリ秒です.

tomas

nishikaze: 間欠電源環境におけるIoTデバイスのマルチホップ通信

現在IoTに対する需要が高まってきており, 様々な活用方法が考えられています. 中には気象データの収集や農業への利用など, IoTデバイスを動作させるのに十分な電力を確保することが困難な環境での利活用も含まれており, 収集可能なデータ量は数bit程度に制限されています. そこでnishikazeチームではそのような環境下におけるIoTでの画像 (数MBytes) の収集を実現するため, 電力を発電しながらデータ取得を行う"エネルギーハーベスティング"を視野に入れ, より効率的な通信プロトコルの研究をしています.

tera

FedIoT: Primitive API による自律分散的な IoT システム間連携機構

従来の IoTは目的別かつ closed な IoT システムを構築しています.今後, IoTシステムで得たセンサデータを外部ユーザに提供する IoTSP(IoT Service Provider)の出現が考えられます.そこで,IoTSP を想定した IoTSP 間連携を実現するための機構である FedIoT を開発しています.FedIoT では全 IoTSP で共通のオントロジとインタフェースを定義し,これらをスキーマ化することで曖昧性を排除した IoTSP 間の連携を容易にしています.

rand

省電力マルチホップ無線ネットワーク

工場や農園などの遠隔監視や、スマートホーム・スマートメーターシステムで実用化されている無線マルチホップネットワークの省電力性や信頼性を高める研究をしています.IEEEやIETFの標準技術を駆使し,電波干渉に強く,電池駆動可能なセンサノードを実現します.工場や農園などの遠隔監視や、スマートホーム・スマートメーターシステムで実用化されている無線マルチホップネットワークの省電力性や信頼性を高める研究をしています.IEEEやIETFの標準技術を駆使し,電波干渉に強く,電池駆動可能なセンサノードを実現します.

yatch, james

vAS: インターネット環境におけるスケーラブルで柔軟なトラフィック・エンジニアリング機構

現在のインターネット上には, 大容量の帯域を必要とするビデオストリーミング, 双方向のリアルタイム性を必要とするテレビ会議や対戦型ゲームなど, ネットワークに対してそれぞれ多様な機能を要求するアプリケーションが数多くあります. 一方でインターネット上でのパケット伝送は宛先となる IP アドレスを元に一意に決定される最短経路に従いますが, 異なる性質のアプリケーションが同一のデータセンタでホスティングされることが多々あることを踏まえると, アプリケーションがネットワークに求める機能要件を宛先アドレスのみに依り決まる伝送経路によって満たすことは困難となります. 本研究では, アプリケーション・サービスの特性に応じた伝送経路の柔軟な切り替えをインターネット規模でスケールする形で実現する方式を提案します.

latte

インターネット・バックボーンを対象としたフロー予測に基づく汎用的な異常検知手法

インターネット・バックボーンには多種多様なサービスやユーザからのトラフィックが混在し, 観測されるトラフィックは平常時でも時間軸に対して変動が大きいジャギーな特性を有します. 一方で, インターネット・バックボーンでは機器故障・社会イベント・サイバー攻撃などに起因する多種多様な異常事象を観測しうるため, 安定したインターネット運用の実現のためには, ジャギーな特性を持つトラフィックを前提として多種多様な異常事象を検知する汎用的な技術が必要となります. 本研究では, インターネット・トラフィックを対象とした多様な異常事象に対する汎用的な異常検知手法を, LSTM-RNN (Long Short-Term Memory RNN) をもとに作成したフロー情報の予測モデルをもとに提案します.

latte

SmartNICを用いたプライバシ保護とデータ転送の効率化を考慮したVNFの実装簡略化機構

Virtualized Network Function (VNF) は, ハードウェアで実現されていたファイアーウォールやルータといった機能を汎用のサーバのソフトウェアとして実現されたものです. これは柔軟性や安全性といった面で優れていますが, 処理が遅いといった問題があります. ここには, 本来はソフトウェアで実装されなくても良い機能が実装されていることが原因の一つです. この研究では SmartNIC を用いてパケット処理をハードウェアにオフロードすることで上位の VNF の処理軽減を目指します. また, パケットの最初の加工場所としてパケット処理を行うことで VNF への抽象化を行います. 具体的にはデータ抽出やタグ付けなどの権限レベルに応じたパケット加工を行います. このことによって, VNF の簡単な実装と柔軟なパケット情報のアクセス制御を実装を実現し, Network Function Chaining (NFC) といった高度な機能の実現をサポートします.

latte

Network Function Chaining Infrastructure

Network Function Virtualization (NFV) という考え方は, ハードウェアで実現されていたファイアウォールやルータの機能を汎用サーバのソフトウェアとして実現することで構成の変更を容易にするものです. しかしながら高いレイヤーで動作する分, その性能はハードウェアには及ばないため, どのようにして性能を向上させるかが問題となります. 既存の Network Function Chaining (NFC) は NF 毎に VM を作り動作させていますが, 処理が軽量な NF は個別に VM を作らずカーネル内でチェイニングすることで様々なオーバーヘッドを削減できます. また, リッチな開発環境が整ったユーザ空間でなければ開発が困難であったり, 計算資源を多く必要とするNFは資源分離が容易なユーザ空間で動作させ, カーネル内のNFとシームレスにチェイニングします. そして, さらなる高速化を目指してハードウェアオフローディング機構とも連携します. eBPFやコンテナ, また独自のパケットデータへのアクセス制御機構の導入により安全性も考慮します. 本研究はこのチェイニング機構で, NF開発者やネットワークオペレータが容易かつ柔軟にNFCを作れるよう支援するとともに, 安全性, 処理性能の向上を目指します.

latte

金子研究室

Catalogue

デジタルコンテンツの長期的な利活用をサポートする技術として, デジタルコンテンツ間の関係を「グラフ」という形で表現・保持する技術であるCatalogueを提案しています. 一般的にインターネット上のファイルを取得する際にはテキストベースの検索エンジン (いわゆるGoogleの検索エンジン) が使用されています. テキストベースの情報取得では, ユーザーが入力するキーワードとデジタルコンテンツの一致に基づいてファイルを見つけ出し, アクセスすることになります. そのため, 自分の求めている情報がどのような文脈に属し, どのようなファイルと関連しているかを, ある程度ユーザーは事前に知っておく必要があり, それに適したキーワードを, 事前に選択する必要があります. 一方で, 全てのファイルがどのような文脈で, どのようなファイルと関連しているのかを網羅的に把握することはまず不可能です. つまり, テキストベースの情報へのアクセスでは, 知りたい情報に関連する多くの情報を「前もって」知っておかなければならないのです. これでは, 「存在は知らないけれども, 実は興味のある情報」にアクセスすることが難しくなってしまいます. そこでCatalogueでは, ユーザーごとにファイル間の関係をグラフという形で表現・保持し, それらを自律分散的に共有・管理するシステムを構築することで, テキストベースの情報取得では実現が困難な「潜在的に興味のあるデジタルコンテンツへのアクセス手段」を提供します.

kaneko lab.

Virtual File

デジタルデータの長期的な利活用を促進するためには, データそのものの流通が不可欠です. ここでいう「データの流通」とは「あるユーザーが所有するデータを他のユーザーが発見し, 認証認可を経たのちにデータそのものを取得する」という一連のデータの流れのことを意味します. データの流通が活発であるというのは, すなわちデジタルデータの利活用が活発であることだと考えます. 一方で現在, データの流通はあまり活発ではありません. なぜならば現状のデータ流通の仕組みでは, データの発見・認証認可およびデータの取得が強固に一体化していて, 柔軟性が乏しいからです. そこでVirtual File (VF) という新しい広域データ流通フォーマットを提案します. VFの技術的な実体は, 実データの代理として広域に頒布されるXMLファイルで, ユーザーはVFを経由することで実データにアクセスすることができます. VFには, 実データの利用に対する認証認可やアクセス権限の制御に関する情報を関連づけることができ, より柔軟なデータの流通を実現することができます.

kaneko lab.

グラフ更新を取得するための管理者間通信機構

世界中で分散してグラフを管理している環境では,それらの管理者同士の通信にかかるコストは大きくなります.そのような環境でユーザからのグラフ演算クエリに素早く応答するためには,管理者間でグラフ情報を事前に交換しておくことによって,クエリ処理のタイミングで管理者間通信が発生しないようにしておく必要があります.しかし,実世界のグラフは常に更新され続けるため,管理者間通信を省いてクエリを処理した結果は最新の情報から乖離する恐れがあります.そこで本研究では,管理者間同士の通信コストを抑えつつも,常に最新のグラフに基づく演算結果を得られるようにするための技術を開発しています.この研究が目指すのは,世界中にばらばらに存在するグラフ管理者同士が自律的に連携しながら演算結果を最適な状態へ収束させることのできるシステムであり,言わば地球規模の人工知能の実現に取り組んでいるとも言えます.

tullys

局所的なグラフ解析のための実用的な Graph Reordering

SNS や Web などの実世界データを表現するグラフは極めて巨大なため,全体グラフを解析することが非現実的となってきました.そのため,Twitter の “Who to follow” などに代表される実世界サービスは,グラフの局所的な解析結果を利用することが主流になってきています.局所的なグラフ解析を行う際は,全体グラフの構造をそのまま使用するのではなく,解析範囲に適した構造を用意することが求められます.本研究では,局所的な解析を進めながら解析範囲の拡大に応じてグラフ構造を最適な形式で補充する手法について検討しています.今後,グラフの局所的な解析結果を利用したサービスは多数出現することが予想されますが,本研究はそれらのサービスに広く適用可能な技術になりうると考えています.

nora

世界横断型のグラフ統合情報基盤の確立

Google が Google のデータを独自に保持し,Twitter が Twitterのデータを独自に保持し,Wikipedia が Wikipedia のデータを独自に保持しているように,世の中のグラフデータはそれぞれの機関で独自に管理されています.金子研究室では,各機関がもつグラフをひとつに統合し,世界中に散らばる所望のデータに組織や機関の垣根を越えて出会えるような仕組みを提供することを目指しています.各機関ごとで情報の精粗(たとえば Twitter は時事的な情報には強いが,教科書的な内容では Wikipedia に劣るなど)が違うため,複数のグラフを組み合わせてある頂点をランク付けするには,ユーザの求める情報の分野に強みがあるグラフの評価をより高めるような工夫が必要です.本研究では,合成前のグラフに適切に重み付けをすることで,各グラフの強みを生かした公平で強力な統合情報基盤の確立を目指しています.

thenter

安定した中心性指標のための辺の重み付け

グラフを分析するために、頂点の重要度に着目した中心性指標があります。グラフを分析する際には、グラフの変化に対し値が大きく変化しにくい安定な指標が求められます。しかし、よく用いられる媒介中心性はグラフの変化に対して不安定な指標で、指標値に信頼性がありません。そこで媒介中心性の概念でもある重みに注目して、グラフの変化に対しても安定な辺の重みをつけることを研究しています。

jimin

Random Walker 単位の非同期処理における Random Early Detection を用いた自律的輻輳制御機構

頂点 (コンテンツ) と辺 (コンテンツ間の関係性) によるグラフ上でのランダムウォークはグラフ解析において広く利用されています. ランダムウォークを用いたグラフ解析の例として, コミュニティ (グラフ上で密集している部分) 検出, 頂点同士の類似性推定, 推薦システムなどが挙げられます. SNS などの実世界のグラフは年々巨大化しており, 一つのマシンでは処理しきれなくなってきています. そこで近年, 複数のマシンでグラフを分割して管理し, グラフ演算をする手法が注目されています. 私はその中でもランダムウォークを複数マシンで実行するシステムの開発を行っています.

takishi

抽出したデータの自動グラフ化技術

近年,SNSやWebなどの実世界データは,ハイパーグラフ(1つの辺が複数の頂点を保持することができるグラフ)として保持され,グラフ解析によりデータの解析が行われています.しかし,ハイパーグラフの辺の中には,グラフ解析の障壁となるものが存在します.本研究では,実世界データをハイパーグラフに変換する際に,グラフ解析に適していない辺をあらかじめ追加しないことにより,抽出したデータをグラフ解析に適したハイパーグラフに自動で変換する手法を検討しています.

zico